食事処 開成
実家のすぐ近所にある定食屋さん「開成(かいせい)」。
定食屋さんといっても大将は元々は寿司職人だから、にぎりや刺身の盛り合わせが美味いんだ。
でも、安くてボリュームがあって、とにかく美味い定食が人気で、おかみさんは奥の調理場から出てくる暇がないくらいだった。
阪神の鳥谷選手の叔母さんにあたるおかみさんは、優しくて明るくて話が面白い。
うちのオフクロはずっと以前から2人の知り合いで、店がオープンした当初からずっと通い続けていた。
週3日、オフクロの夕食はここでお世話になっていた。
夫婦2人でゼロから店を構えるのは大変な苦労とストレスだったはず。
それを味わって乗り越えて続けてきた2人だから、オレが塾を開校した時にも親身に話をしてくれた。
すぐに教室に駆けつけて、お祝いにメロンをくれた。
親父が亡くなった時は、閉店後の夜中に葬儀場まで手を合わせに来てくれた。
そんな2人のお店が、2月いっぱいで閉店した。
最終日前日の昼間、久しぶりにメシ食いに行った。
開店と同時にカウンターへ一番乗りしたが、店はすぐにお客さんで一杯になった。
そんな忙しい中で、大将はにこやかに色々と話しかけてくれた。
ぶっきらぼうで、気に入らない事があったら客にだって文句言う大将なんだけど、オレには優しくしてくれる。
その日も、「いま入試前で忙しい時だろー」って気遣ってくれた。
昼定食のチキンカツを食べた。
カツがデッカくて衣も美味い。
横に添えてある玉子焼きとポテトサラダも美味い。
味噌汁はもちろん、付け合わせの煮物と高菜の油炒めもサイコー。
山盛りのご飯を必死で平らげて、680円。
コスパなんてチンケな言葉つかわなくても、誰だって分かる。
この定食には、大将とおかみさんの愛がこもってる。
もう食べられないんだな、これ。
大将、おかみさん。
本当にお疲れさまでした。