百聞の害
「百聞は一見に如かず」とよく言われるが、他人から聞く話が害になることもある。
あれは大学を出て、トヨタのディーラーに入社したばかりの頃。
最初の1ヶ月は本社で研修だったので、同期の新人営業マンとは毎日顔を会わせてた。
その中に、この会社の社員だった先輩を知ってるというヤツがいた。
なんでも、大学の1個上の先輩が前年に入社してて、しかもその先輩とは同じ寮だかアパートだかに住んでる仲だとか。
だからそいつは、社内事情にミョーに詳しかった。
新人研修中に実施される自衛隊体験はキツ過ぎて死ぬだとか、どこどこ営業所の所長は最悪だとか、良くない話ばかり。
研修中にそんな話ばかりしていた。
全部その先輩から聞かされてた話のようだったが、その先輩って人、前年入社して1年未満で会社辞めてたのね。
そんな先輩からネガティブな話ばっかり聞いてたその同期の男も、結局1ヶ月研修の最中に辞めてしまった。
みんなでポカーンとなった記憶がある。
一体なんだったんだ。
実際、自衛隊の体験入隊も楽しいもんだった。
どこどこ営業所の所長さんも聞いてた印象とはずいぶん違った。
自分が実際にその中に入ってみると、他人から聞いてた話と一致することなんてあんまり無いもんだ。
特にネガティブな噂話は害になることの方が多い。
学校だってね、自分が行ってみてどう感じるかなんて他人には分からない。
そんなもんだべー。